首のチック(トゥレット)という不随意運動が止まれば、細野クリニックの治療効果も上がります。しかしながら、頚性神経筋症候群の苦しみが改善されてみて、わかったことは、不随意運動が治らないか限り、この激しい苦しみとほとんど何もできない状況から抜け出すことはできないということでした。腸がスッキリして、普通に食べることができるようになり、体の重さが取れ、体型も元に戻れば、不随意運動は耐えられるのではないかと甘く考えていました。普通なら、細野クリニックの治療を受けて、むち打ちのような辛い不定愁訴も取れてよかったね、ということで終わることができたのです。残念なことに、私には、重度のチック(トゥレット)も発症してしまったため、誰も止めることができないと言わんとばかりに、重荷が軽くなることはありませんでした。

その苦しみは耐えられるようなものではありません。それでもいくらか病気が改善されたのだからという思いもあったため、難治であり、治療方法もないとされるこの苦しい重度不随意運動に対しても、治療を模索し始めました。それまでは、人体で重要とされる頚椎やその周辺の筋肉を痛めて、重いチック(トゥレット)になったのだから、頚椎さえ治すことができたら、不随意運動も次第に治るのではないかと考えていたところがありました。

逆に、不随意運動が止まったとしても、頚椎や骨格をなんとかしない限り、完全には治らないということも知っていました。でも、この重いチック(トゥレット)については、頚椎が良くなることによって、自律神経が改善されてきても、治りませんでした。いくらか互いに影響はあるのかもしれませんが、病院や医者がそれぞれ専門分野に別れているように、治療方法も別に見つけなくてはならないということが、はっきりしました。

こんなの治せるわけないでしょ?としか思えないのですが、それでも、とにかく治療を探し続けるしかないわけです。そうしない限り、まだまだ先が長い人生を、廃人のような状態で、苦しみながら終わらせてしまうことになってしまいます。本当に、冗談抜きに苦しいなんてものではありません。社会的には、もうすっかり、普通の人達からは、取り残されています。本当に絶望的な状況だし、治せる医者なんていないし、治療方法もないということしかわかりませんでした。未来では、もっと簡単に治るのかもしれませんが、いつになることやらわからない治療法を待つまで、この苦しみに耐えることは不可能としか思えませんでした。そうやって、2年近くも苦しみ続けてきたのですが、いつも1日を乗り切るだけで、限界だと感じてきたのです。

それでも、偶然も重なったおかげで、一般の病院では受けることができない特殊な治療法を見つけることができました。もしかしたら、自分もはい上がれるかもしれないと感じるようにさえなったのは、本当にごく最近です。そう、緩和治療でもなんでもいいからとずっと思っていました。そして、頚性神経筋症候群は、首の不随意運動さえなくなれば、細野クリニックの治療でなんとかなると。

有効な治療なんて、見込めない上に、醜く苦しみ続けるこの重なりあう難病群でさえも、改善はもちろんのこと、根治を目指せるのではないかと思えるようになってきたのです。あれだけ、ひどく、重く、他の病気のように治療方法が確立されていない難病ですら、回復は、例外ではないと思うこができるようになりました。

もちろん、ほとんどの人は、特に何もしなくても、顔面や首の重度不随意運動のような、生活に苦しみを伴い、肉体をすり減らすような経験はしなくてすみます。私は、大きな重荷を背負って生きることになりました。前のようには、普通に仕事したり、生活することは難しい状況です。そのハンデの中で、いかに回復し、自分の暮らしを取り戻すことができるかということが、日々の目標となっています。そして、このような難病を持っていないことがいかに幸せなことかよくわかりました。健康ほど、貴重なものはありません。贅沢なお金があるよりも、肉体や精神が束縛されることなく、自由に生きれることの方が、幸せだと思います。

奈良医療センターに行き、呼吸法を身につけながら、回復していく過程で、みんなには当たり前の不随意運動がない状態を長く維持できるようになり、車が運転できたり、散歩したり、美味しいものを食べたり、自然に触れることができるようになりました。感謝できることが少しずつ増えて、とても嬉しく感じました。以前は、当たり前のことだったのですが、それらを、制限された中で生きることを強いられてきて、孤独や肉体的に苦しんできました。今もその影響から逃れることはできていませんが、苦しみはいくらか軽減されました。こんな日が来ることは、想像すらできませんでした。治ったわけではないにしろ、症状を抑えて生活できるので、随分楽になりました。

次は、普通に仕事に戻ることが目標です。特に、口元の不随意運動が出やすく、毎日、呼吸法に改良を加えながら生活していますが、なんとかさらに良いレベルまで回復したいです。首の不随意運動は、かなりマシになったため、頚性神経筋症候群の治療を来月、再開します。今度は、完治くらいまで持っていきたいので、先生にもお願いしてみようと思います。もう、銀座のウィークリーマンションの予約を済ませました。今回は、マシになっているので、新幹線の多目的室は利用せずに、マイルの特典航空券を使って、羽田経由で京橋の細野クリニックに行く予定です。細野クリニックには、半月分の集中治療の予約もすませました。チック(トゥレット)については、毎日できる呼吸法で引き続き治していきたいと思います。

念のため、細野クリニックに紹介状を書いてもらった東京女子医科大学付属病院の受診も受けてみようと思います。恐らく、脳外科の手術は受けませんが、回復に向けて、何かのヒントを得られるかもしれません。今度の先生は、主にジストニアを対象としているようですが、不随意運動専門の有名な先生です。もちろん、開道先生を主治医とする方針は換えませんが、せっかく、紹介状まで書いてもらい、予約もしたし、東京の細野クリニックの治療は受けるので、その合間に診察を受けることにしています。

もうすぐ秋が深まっていきますが、今年のクリスマスは、妻と行きつけだったレストランで食事して、温泉にも入り、仕事についても、ONにしておきたいです。そのために、今は、日々治療と日常のリハビリが全てです。

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