鍼治療の効果が少し実感できた日の夕方、妻も大阪にきました。奈良医療センターの開道先生は、トゥレット 症候群(チック)が専門の脳神経外科の医師のため、DBS手術の可能性があるということで、妻も行った方がいいのではということでした。それでも、電気鍼治療を26時間も受けたことにより、超ヘビー級のチックの症状は、だいぶやわらいだように感じました。Maris京橋というアパートのようなホテルに泊まっていたので、ずっと食事は、簡単に作っていたのですが、妻も来たので、外食にしました。株主優待券を使って、大阪京橋の「村さ来」で食事しました。株主優待券なので、財布も痛くありません。
まあ、まだまだ辛い症状には変わりはないし、一時的なことかもしれないので、安易に喜ぶのは早いのかもしれませんが、超ヘビー級の辛さが、ミドル級まで下がったような状態だったので、気分は良かったです。チェーンの居酒屋なので、味は普通なのですが、やたらと美味しく感じられました。これなら、DBS手術受けなくても、いいんじゃない?と思ってきました。
このまま、うまく治ってくれたらいいのですが、やはり、鍼治療なので、お金もかかるうえに、効果が持続できるかどうかは、わかりません。治療も痛いので、好きな治療とは言えません。もちろん、あまりにも苦しいのでそんなことは言っていられませんし、根治できるのならば、今さら、手段はどうでもいいと思っています。
今回の治療の目的である奈良医療センターの受診は、短い時間とは言え、わからないことばかりなので、よく医者の話を聞いておきたいと思います。できれば、根治に繋げたいという思いもあります。開道先生の診察を受けることに決めた理由の一つは、開道先生の重度チックに対するDBSは、対処療法ではなく、根治に繋がった例があるということをホームページで読んだことも含まれます。
それにしても、一時的な喜びかもしれませんが、鍼治療が少し効いたので、また、仕事できるようになる日が来るんじゃない?と思ってしまいました。そう思える日が来るなんて思いもしませんでしたが、気分だけは、良かったです。まだまだ口は、動いて辛さはあることに変わりはありません。とにかく、苦しいのですが、あの恐ろしく辛い、ヘビー級の苦しみではないし、首の不随意運動も軽くなったような気がするので、見える世界も随分と違います。最悪、普通の仕事ができなくても、これなら、引きこもったままでも何かできるかもしれないと思わせてくれました。やっと普通に苦しい難病レベルになったのかもしれません。これで、喜ぶのもどうかと思いますが、これまでの不随意運動は、人間の耐えるレベルを軽く超えています。冗談なんか言えないどころか、人と会話するのも大変でした。ひどい虐待をされた病院への抑えきれない感情も含めて、限界の状態でした。笑うなんて、とてもあり得ません。私の文章も、かなり荒れていると感じていますが、そうはありえない生の重度難病体験なので、仕方がない部分もあります。
それが、久々に冗談も言いながら、食事をしました。未来への期待を口にすることもありました。あくまで、仮定の話でしかないのかもしれませんが、ちょっとは、回復もありえるかもしれないと思えるようになりました。もともと、回復なんて望めない状態で、すっかり、行き詰まっていた中、アメリカからのメールをきっかけに、治療に踏み出し、少しは軽減することができたのかもしれません。
なかなか理解が得られない難病になってしまったために、病院には、あっさり捨てられてきたので、患者を治せなかったり、患者の話を聞かない病院は、もう問い合わせ以上のことはしてきませんでした。できれば、もう病院とだけは、付き合いたくないと思っています。病院が、私のような重度難病患者を、相手にしきれないのと同じです。元気なころは、難病患者の方が優先されるのかと思っていましたが、それは、ごく稀にしかありませんでした。特に上から目線の態度には、呆れることがよくありました。難病者の立場というのは、弱く、社会的なことも含めて、今までできていたことが、できなくなっているので、悔しい思いもたくさんしないといけませんでした。この難病さえ治れば、もう、そんな思いもしなくてすみ、この重い人生のハンデを背負わなくてもすむのに。
そんなことばかりだったので、わざわざ、奈良まで行って、開道先生の機能神経外科を受診するわけです。チックに対する実績があることも大切だったのですが、患者本位で、重度の難病患者に対しても優しい治療計画を立てられるということが、大きな理由です。奈良医療センターの機能神経外科には、毎年ベストドクターに選出されている平林先生という院長でかつDBSのスペシャリストもいらっしゃり、開道先生は、非常勤の医師です。それでも、やはり、重度チック患者の気持ちがわかる先生の方がいいと思いました。
もう、あれから随分とすぎましたが、妻に無理に連れて行かれたとはいえ、建物だけがきれいだった精神科だけは、おかしいと思いました。チックのことも、頚性神経筋症候群のことも、全く知らないうえに、どちらも薬が全く効かない病気に対して(これは、この病気の専門の医者が言っていることです。)、さらに全く関係のない強い薬を出すことしか考えていませんでした。素人でさえもやってはいけないとわかることを合法的に行う行為は、私からみれば、かなり信じられませんでした。それを医療として強制手段を使うので、私からみると非道としか言いようがないです。呆れます。精神の薬を使うと1年間はぐったりして、何もできなくなるというような話を平気でするし、意味がないと言っても、全ては強制という手段で行われます。難病を悪化させられただけでも最悪でしたが、あと一歩で、簡単には抜け出せない薬漬けにされ、さらに悪い状態にされるところでした。本当に危なかった。
首を痛めたことによって、頚性神経筋症候群になったことは、本当に最悪でした。細野クリニックで、骨格を治療して筋肉を緩めてもらうまでは、よくもなりませんでした。薬では、絶対に治らないのです。まあ、一般の医者と違って、その病気について知っていたことは、良かったような、悪かったような気もしますが、病気を治していくためには、絶対に必要なことでした。
この難病になってわかったことは、医者の中でも、本当に難しい病気を適切に治療できるのは、一部の医者だけで、権力は振りかざすけど、治療はやりきらないか、逆に悪化させるという医者がたくさんいるということでした。そして、この情報化社会において、医者や病院の選択は、かなり重要で、難病でずっと苦しむことになるか、適切な治療を受けることができるのかを左右することになります。一般的な病気ならまだしも、難病となると正しい医者を選ぶことは、極めて重要だと思います。それによって、その後の人生が変わることも十分ありえます。